市政野名だより第22号

投稿日: 2013年8月30日 作成者: nonasumiyo

市政野名だより第22号(PDFファイル)

市政野名だより 第22
発行者 野名すみよ
大王町波切108
1
平成24
年10月発行  ℡72-1320

◆大口市政四年間の総括

▼過去最高だった国の援助金

大口市政の四年間の行政運営は、黒字でした。しかし、監査委員は次のように指摘しています。

「この黒字は、国の緊急的な経済対策により、一時的に多額の財政援助金があったことによるもので、行財政改革等による歳出削減でもたらされたものではない。また自主財源は、二十三年度決算では前年度と比較して二.五ポイント上昇しているが、これは預貯金を取り崩して生活費に充てたのと同じことであり、必ずしも歓迎すべき状況であるとはいえない。」

一方、国から多額の財政援助金をもらいながら、連絡所の廃止・補助金のカット・介護保険料の値上等々、市民生活は著しく低下してしまいました。

▼四十二億円余も増大した借金

大口市長が就任した時の借金は、鳥羽志勢広域連合等を合わせて四百七億八千七百万円でした。しかし、二十四年度には四百五十億二千四百万円にも膨れ上がってしまいました。わずか四年で四十二億三千七百万円もの増大です。

借金について大口市長は、次のように答えました。

「合併特例債による有利な借金だから、借金することで市の財政状況は好転している。」

有利であっても、大口市長のように《行け行けドンドン》」的な考えで借金していては、市の財政は安定しません。平成三十一年度以降に迫った財政危機(下段に掲載)の認識が欠落しているのでしょうか。

▼約十億円も減少した税収

平成二十四年度の税収入は五十三億六千七百万円でした。二十年度は六十三億五千九百万円でしたから、四年間で九億九千二百万円も税収が減少したことになります。

税収を増やすためには、大口市長のいう雇用対策に取り組まなければなりません。「里海創生事業で稼げる街をつくる。魚の値が上がり、税収もあがる」と、市長は自信をもって答えています。しかし、二年目に入っても「稼げる街」につながる具体策は全く示されていません。

私は何度か「稼げる街」につながる具体策を質しましたが、いつも壮大な、抽象的な、常識的な答弁しかかえって来ません。現実に即した具体策を示せない計画で、税収が期待できるのでしょうか。

◆平成三十四年度に財政破綻か

▼市長は「根拠のない野名議員の老婆心」

九月六日の一般質問で、私は平成三十一年度以降に迫った市の危機的な財政状況について市長の見解を質しました。しかし、大口市長は「財政は大丈夫。財政破綻の心配は、何の根拠もない野名議員の老婆心」と一蹴しました。

志摩市が、夕張市のような財政破綻に転落する危険性が極めて高いと私が考える根拠は、大口市長が平成二十一年に策定した『志摩市財政計画』と、監査委員による『決算審査意見書』です。

『志摩市財政計画』によると、平成二十七年度からは支出が収入を上回り、不足分は預金を取り崩すとしています。二十七年度から継続的に預金を取り崩していかなければならないということは、この時点で財政破綻状態に陥ったということです。

▼ 平成二十七年から歳入不足

三十一年度に預金を使い果たす

『志摩市財政計画』では、平成三十一年度には十六億二千万円の財源不足となります。この不足分を預金で埋めようとしても、一億六七〇〇万円足りません。そこで減債基金を取り崩しますが、この基金も三十一年度末には二億七九〇〇円しか残りません。

平成二十六年度には財政計画を見直すことになっていますが、『志摩市財政計画』は、三十一年度までしか予測していません。しかし、三十二年度に不足する財源が、三十一年度と同額の十六億円と想定すると、残る二億七千九百万円の減債基金を差し引いても、十三億二千百万円が不足します。

最後に残されている地域振興基金三十億円を取り崩したとしても、二年後の三十四年度には予算を組めなくなります。この時点で志摩市は夕張市と同様の財政破綻団体ということになります。

▼「二十五年度はまだ来ていない」と市長

私は、財政破綻が想定される平成三十一年度以降の

対応策を質しました。

市長「二十六年度に財政計画を見直す。」

野名「見直すことで三十一年度以降の資金不足に対応できる預金が積めるのか。」

市長「二十五年度はまだ来ていない。現実でもない話を一足飛びに飛んでしまうと、とんでもない話になる。そうならないようにがんばる。」

平成二十五年まではあと半年しかありません。その半年後に見直すという財政計画の概要を答えられないということは、大口市長は市の危機的な財政状況をまったく理解していないといわざるを得ません。

三十一年度以降に想定される市民への影響と市政運営の課題についても、三~四回繰り返し質問しました。しかし、大口市長は、「そのあたりの条件は見えていないから、見えたときに計画をつくっていく」と答えました。見えていないのは大口市長だけです。

▼財政計画見直しで

公共料金は大幅な値上げ

厳しい財政状況が想定される平成三十一年度以降の市政運営と市民への影響について、担当部局は次の三点をあげました。

・職員の定数を減らす。

・事務事業や補助金の大幅な見直し。

・公共料金の値上げ。

現在、志摩市は公共料金の値上げを抑止するため国民健康保険税・下水道料金・保育料に市の財源を繰り入れています。

平成二十六年度に見直す財政計画では、これらの料金が介護保険料のように大幅値上げされ、すべての補助金が減額されることになります。

◆一億六千万円もの赤字

「海ほおずき」

浜島町の起爆剤とした磯体験施設「海ほおずき」は、四年間で一億六千万円もの赤字が増大しました。

大口市長は「海ほおずき」を重点施策と位置付け、これまで市直営の食堂経営や足湯施設の整備等に多額の投資をしてきました。

私は、そのたびに市の財政負担になることを指摘し、見直しを求めてきました。しかし市長は「私の任期中は続ける」と聞き入れず、その結果が多額の赤字垂れ流しなのです。

▼「何が赤字か分からない」と大口市長

「この赤字額を見ても、続けるという考えに変わりはありませんか」と、私は質しました。

大口市長は次のように答えました。

「何をもって赤字というのかわからない。公共施設であれば、その運営に職員の人件費がかかる。それをひっくるめてすべて赤字といわれると、認識が違う。

例えば、市は証明書を発行しているが、この人件費も赤字といえば、それこそ膨大な額となる。民間の損得だけの経営判断と行政は違う。

なぜ、赤字なのか、野名議員から根拠を示しながらいっていただきたい。」

大口市長は何が赤字かわからず、この四年間「海ほおずき」を黒字にすると豪語してきたのです。垂れ流してきた一億六千万円もの赤字については、証明書の発行を例にして「行政の仕事はみな赤字だ」と開き直ったのです。

▼「海ほおずき」を赤字とする根拠

大口市長のいうとおり、市の窓口業務は黒字にはなりません。市民に不可欠な業務であっても、人件費などを計上すると、当然赤字です。赤字が当たり前の業務です。

全国の市町村の中で、人件費の削減ではなく、市民に交付する証明書の発行業務を、赤字か黒字かと議論する議会がどこにあるのでしょうか。

また、行政の責務である証明書発行等の窓口業務と、収益を目的に設置された観光事業を同列に並べて、「行政の仕事はみな赤字だ」といえる市長が何人いるでしょうか。

観光資源として設置運営されている「海ほおずき」の利用者はほとんどが志摩市民ではありません。「海ほおずき」に年間十万人、二十万人の利用者が訪れ、志摩市に経済波及効果を及ぼすのであれば、多少の費用超過は許されるでしょう。

しかし、費用対効果が許容範囲を超えているから、私は赤字であると指摘しているのです。

大口市長は、市にとって住民票等の証明書発行も、「海ほおずき」も必要不可欠と明言しました。

◆稼げるのか里海構想

里海創生の基本計画を基に、今後の方向性と課題を市長に質しました。しかし、市長は「見解の相違」とまるでオウムのように繰り返すだけ。構想すら答えることができませんでした。

私が「里海計画は絵に描いた餅」と批判するのは、市長から実現可能な具体策の説明が得られないからです。稼ぐために何をしたいのか、二年目に入ってもまだ提示されていません。

また、基本計画には、財源の記述がありません。財政支援の裏打ちのない事業に、各種団体がどこまで真剣に取り組んでくれるのかはなはだ疑問です。

基本計画にある藻場の育成・拡大や、干潟の再生、廃棄物の利活用による開発商品化、希少生物の保護・保全、農林水産業と他産業の融合によるベンチャー企業への事業に対し、「まだ財政支援は考えていない」という里海構想。

計画策定組織である農協・漁協・真珠組合・自治会・女性の会などが自発的に事業を提案し、主体となって稼げる計画を担ってくれると、市長は本気で考えているのでしょうか。

▼ すべて丸投げで

「百%稼げる街が作れる」と大口市長

私は、何度か大口市長に「稼げる街」の具体策を質

しました。しかし、一般常識的な環境論だけで、一度もまともに答えることができませんでした。そのうえ、次年度も情報発信だけといいます。

本気で「稼げる街」づくりに着手するのであれば、計画策定組織に丸投げするのを止め、市が立案し、各種団体の協力をもとに、市が主体となって事業を推進すべきでしょう。

このままでは、市長の夢である「海ほおずき」と同様、無駄な投資となってしまいます。